皆さんこんにちは!
現役動物看護師のクロころです。
今回は「犬の糞便検査(直接法)」について解説していきます。
前回解説した肉眼所見にプラスして、顕微鏡での検査をすることでより詳しく消化管内の状況を知ることができます。
- 直接法とは
- 直接法でわかること
- まとめ
それぞれ詳しく解説していきます。
直接法とは
では、まず直接法とはどんな検査方法なのか、説明していきます。
直接法とは、読んで字のごとく「スライドガラスに直接検体を塗布して顕微鏡で鏡検する」という検査です。
検体を生理食塩水に溶かしてみることで、糞便内のさまざまなものを細かく見ることができます。
直接法でわかること
では、直接法を行うことで何が分かるのか。
細菌(球菌・桿菌)
直接法では特に球菌と桿菌の数のバランスについて確認します。
糞便内は常に多くの細菌で満たされていますが、通常は消化管内の細菌叢のバランスが保たれた状態になっています。
下痢様の便になったりする場合はその細菌叢のバランスが崩れている場合があります。
どちらかの細菌に数が偏っていないか確認する必要があります。
細胞成分(白血球・赤血球・上皮)
消化管内などで炎症や出血が起こっている場合、糞便内に細胞成分が認められることがあります。
特に白血球や赤血球のような血球成分が出ている場合は、その可能性が高いです。
また、消化管内の上皮細胞が剥がれて排便の際に糞便とともに排出されることもあります。
こちらは問題になることはあまりありません。
原虫(トリコモナス・ジアルジアetc.)
最後に原虫と呼ばれる寄生虫です。
原虫は単細胞の微生物で、トリコモナスやジアルジア、コクシジウムなどが代表的です。
いずれも動物の消化管内に寄生し、下痢などの症状を引き起こします。
子犬や免疫力の落ちた状態で発症することが多いため、注意が必要です。
まとめ
今回は、犬の糞便検査でわかることについて解説していきました。
糞便は飼い主の皆さんが異常に気が付きやすい、ある意味体調の指標となる部分の一つです。
その糞便検査の直接法と呼ばれる検査では、以下のような検査を行っています。
- 直接法とは「スライドガラスに糞便を直接塗布し顕微鏡で鏡検する」検査のこと
- 細菌は、種類や数のバランスに注視して観察する
- 細胞成分は、炎症や出血がないかを判断する材料となる
- 原虫と呼ばれる寄生虫の有無を確認する
- もし原虫に寄生されると下痢や血便を発症することが多い
直接法は次回以降で解説する「浮遊法」と合わせて糞便検査の主となる検査の一つです。
かかりつけの病院で検査をする際は、興味をもって見てみると理解も深まるかもしれませんね。
今回はここまで!
また次の記事でお会いしましょう!
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