皆さんこんにちは!
現役動物看護師のクロころです。
今回は、犬猫の尿検査の中でも「顕微鏡検査」についても解説していきます。
今まで紹介してきた尿試験紙検査や尿比重検査と合わせてどんなことが分かるのか。
尿を顕微鏡でみると何が見えるのか。
普段飼い主の皆さんがあまり見ることのない顕微鏡での検査について紹介していきます。
- 顕微鏡検査の目的
- 顕微鏡で見えるもの
- 鑑別できる疾患
では、それぞれ詳しく解説していきます。
顕微鏡検査の目的
では、まず顕微鏡検査を行う目的について紹介していきます。
簡単にいうと
尿中に含まれる細胞や細菌、結晶を見つけ、疾患を鑑別するため
尿中には実は、たくさんの成分が含まれています。
目視することはほとんどできませんが、顕微鏡で見ることで小さな細胞や細菌を確認することができるのです。
顕微鏡検査で見えるもの
次は顕微鏡で見ることのできるものについて一つずつ解説していきます。
細胞(白血球、赤血球)
正常時、尿中に細胞が認められることはほとんどありません。
尿中に白血球や赤血球が認められる場合は、膀胱や尿道などで炎症などを起こしている可能性が考えられます。
炎症により、そこから細胞が漏れ出して尿中に出てくるというわけです。
細菌
細菌も正常時はほとんど尿中に認められることはありません。
膀胱や尿道などの尿路で細菌感染が起こると認められるようになります。
種類としては「桿菌」や「球菌」が多く、感染性などによっては強い種類の細菌などが確認される場合もあります。
結晶
最後は、結晶です。
皆さんは「膀胱の中に石ができている」ということを聞いたことはありますか。
ここでいう「石」とは「結晶の塊」のことです。
犬猫の尿中に認められる結晶には大きく2種類あります。
- ストラバイト結晶(リン酸アンモニウムマグネシウム結晶)
- シュウ酸カルシウム結晶
食事内容などによってできる結晶の種類は変わります。
pHと言われる体の中の体液の性質を表す指標があり、これが「酸性」か「アルカリ性」かによって産生される結晶が変わるのです。
鑑別できる疾患
基本的に疾患を鑑別するには、多角的にみて判断する必要があるため顕微鏡検査のみで鑑別することは少ないですが、今回は顕微鏡検査の結果が鑑別の材料となる場合の疾患について解説していきます。
膀胱炎
尿中に白血球や赤血球などの細胞が認められる場合、泌尿器での炎症を疑うことができます。
膀胱に限らず、尿道などでも炎症や出血を起こしている可能性があります。
しかし、「膀胱穿刺」といって膀胱に直接針を刺して尿を採取した場合にも、細胞が認められる場合があるため、採尿方法にも注意が必要です。
尿路結石
尿中に結晶が認められる場合、膀胱や尿道に石が形成されている可能性があります。
その場合は、超音波検査やレントゲン検査で石の有無を確認する必要があります。
もし、石があることが確認された場合、「尿路閉塞」を発症するリスクを発見できる可能性もあるため、尿検査の重要性が分かって頂けると思います。
まとめ
今回は犬猫の尿検査の「顕微鏡検査」について解説していきました。
飼い主の皆さんが普段なかなか見ることのない検査ですが、後の診断などに活用できる大切な検査です。
ポイントはこちら
- 顕微鏡検査の目的は「尿中に含まれる細胞や細菌・結晶を見つけて疾患を鑑別すること」
- 結晶は主に「ストラバイト結晶」と「シュウ酸カルシウム結晶」
- “膀胱炎”や“尿路結石”の発見に役立つ
これですべてが分かるというわけではないですが、一つの大切な情報を得るために必要な検査と言えるでしょう。
この先、尿検査をする際は少し気にしてみてみると普段とは違う面が見えてくるかもしれませんね。
今回はここまで!
また次の記事でお会いしましょう!
コメント